コラム05 兄弟で創業したが、社長の死後、社長になった弟に経営権なし


◆兄弟で創業したが、社長の死後、社長になった弟に経営権なし

 次は、機械部品メーカーのB社のケースです。

 B社は兄と弟が2人で起業した会社で、
 社長である兄が80%の株を保有し、
 専務である弟が20%の株を保有していました。

 数年前から社長が体調を崩したため、
 社業は弟の専務に任せることにしたのですが、
 自社株についてはそのままでした。

 その後、社長が亡くなり、社長が保有していた80%の株は、
 社長の妻と一人娘にそのまま引き継がれてしまったのです。

 このままでは会社の経営権を、
 社長の妻と娘に握られてしまうことになるため、

 社長の座を引き継いだ弟は、社長の妻と娘に
「株を全部売ってください」と申し出ました。

 しかし、応じてもらえませんでした。

 現在、B社の経営権は、社業に関わっていない社長の妻と娘に握られており、
 弟はいつ解任されるかわからない状況に戦々恐々としています。

 また、会社が第三者に売却されてしまう危険性もあるのです。

 このような状況を回避するためには、

 社長が生前に専務に株を贈与したり、遺言を作成して、
 専務への株の譲渡を検討しておくべきだったといえます。

 また、会社が自社株を買い取りできるように、
「相続人に対する売渡請求」が可能な旨を、
 定款に定めておくべきだったといえるでしょう。