コラム33 納税猶予制度のメリット・デメリット


知ってトクする相続税・贈与税の納税猶予制度があります。

一番のメリットは納税資金負担がゼロになること

相続税・贈与税の納税猶予制度には一長一短があります。そこで、あらためてこの制度のメリットとデメリットをまとめておきたいと思います。

まずメリットですが、主に次の4つでしょう。

  1. 要件を満たせば、事業承継に伴って発生した贈与税・相続税の全額が猶予されるため、事業承継時の後継者の納税資金負担が事実上ゼロになる
  2. M&A等による株式譲渡や合併による消滅、解散等によって納税猶予が取り消された場合でも、納税の減免措置がある
  3. 贈与税の納税猶予については、相続時精算課税制度との併用が可能。併用することで、納税猶予が取り消された場合でも、納税額の負担が軽減されること。具体的には、暦年課税によって計算される贈与税額ではなく、相続時精算課税制度による特別控除2500万円を超える金額に対して税率20%で計算された贈与税額の納付となる。
  4. 特例制度の適用期間が2027年まで続くため、今から準備を始めても問に合う可能性が高い(後継者の要件となる役員就任期間は3年以上)。ただし、後継者の経営力の育成については後継者の能力による。

一方、デメリットとしては、主に次の2つが考えらます。

  1. オーナーは贈与時までに社長を退任する必要があるため、経営に口出しできなくなる
  2. 納税猶予の取消しが行われると、利子税を払わなければならなくなる

制度の利用について十分な検討が必要なケース

オーナーが社長を辞めたくない場合や、オーナーが自社株を現金化したいと考えている場合、後継者の経営力に不安がある場合、後継者不在で早い段階でのM &Aを検討している場合、株式が分散し同族関係者で議決権の過半数を保有していない場合などは、この制度の利用について十分な検討が必要でしょう。


 

まとめ

納税猶予制度のメリット

  1. 事業承継時の後継者の納税資金負担が事実上ゼロになる
  2. 納税猶予が取り消された場合でも、納税の減免措置がある
  3. 相続時精算課税制度との併用が可能であり、併用することで、納税猶予が取り消された場合でも、納税額の負担が軽減される
  4. 特例制度の適用期間が2027年まで続くため、今から準備を始めても間に合う可能性が高い

納税猶予制度のデメリット

  1. オーナーは贈与時までに社長を退任する必要がある
  2. 取消しが行われると、利子税を払う必要が生じる

制度利用について十分な検討が必要なケース

  • オーナーが社長を辞めたくない場合
  • オーナーが自社株の多くを現金化したいと考えている場合
  • 後継者の経営力に不安がある場合
  • 後継者不在で早い段階でのM&Aを検討している場合
  • 株式が分散し同族関係者で議決権の過半数を保有していない場合

今回は納税猶予制度についてご紹介いたしました。この制度を理由するための事前対策やしてはいけないことなど、他にもポイントがいくつかあります。まずは下記フォームからお問い合わせください。

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