コラム02 社長が亡くなれば、株は必ず、分散する


 あなたは自分の会社の株のことについて、どれだけ知っていますか?

 じつは、社長の多くは、自社株のことについて何も知りません。

 特に、上場していない会社の社長については、
 自社株のことなど気にしていない人が
 ほとんどだと言っても過言ではないでしょう。

 しかし、社長が自社株のことを知らないと、
 大変なことになってしまいます。

 いつのまにか経営権が他人の手に渡っていて、
 社長をクビにされてしまうことだってあるのです。

 私たちは通常、株式の50%プラス1株を持っていれば、
 会社経営は安泰だと思っていますが、それは大きな間違いです。

 確かに、過半数の株を持っていれば、
 取締役や監査役の選任といった通常決議を支配することはできます。

 しかし、取締役の解任や会社の合併といった特別決議を支配するには、
 過半数では足りず、3分の2以上の株が必要なのです。

 また、社長が亡くなると、社長の座は自動的に副社長に引き継がれると
 思っている人もいるようですが、そんなことはありません。

 社長が亡くなると、社長が持っていた自社株は
 社長の妻と子供たちに財産という形で引き継がれるので、
 そこで経営権をめぐる争いが起こることがあるのです。

 たとえば、法定相続分どおり、
 妻が50%、2人の子供が25%ずつ相続した場合、
 妻は、長男もしくは次男のどちらかと結託することで、
 相手を解任することも、相手の株を強制的に買い取ることもできるのです。

 したがって、社長は自分が自社株を100%
 持っているからといって、安心していてはいけません。

 何の対策もしていなければ、社長が亡くなったあと、
 必ず、会社の株は分散してしまうのです。

 また、自社株の値段が高額になっていた場合、
 遺族が納める莫大な相続税を、会社が負担をするケースも多く、
 そのために大量の資金が流出し、会社の経営が厳しくなることもあります

資本戦略研究所 田儀雅芳