コラム39 事前に後継者に自社株を移動しておく

事前に後継者に自社株を移動しておく

生前贈与

自社株の承継のタイミングは早いほうがよい

後継者に自社株を承継する方法としては、3通りあります。

  1. 相続時に移転
  2. 生前に贈与
  3. 生前に譲渡

後継者に経営権を承継するには、自社株のほとんどを後継者に集中する必要があるため、極めて不平等な財産分割にならざるを得ません。その結果、他の相続人の不満は大きく、トラブルの可能性が高くなります。

そこで、生前に後継者へ自社株を移動しておくことで、その分相続時の自社株が減少し、トラブルリスクの減少につながります。

遺言がない場合には法定相続となり、後継者への自社株集中が困難になるため、遺言は必須事項です。しかし、遺留分の問題は残ります。また、相続の場合には、その時点での株価評価になり、想定外の相続税負担となるリスクがあります。

生前に贈与する場合には、非課税程度の範囲、または株価評価が低い時点で贈与すれば贈与税負担は減少し、3年経過すれば、税務上の相続財産からも外れます。また、遺言での遺留分算定の対象は、原則、相続前10年間の贈与に限定されたので、早期に贈与すると遺留分侵害額が減少することになります。

生前に譲渡する場合には、株価の低い時期に後継者個人または後継者が支配権を有する会社に売却します。この場合には、自社株が売却代金という現金資産に置き換わり、売却株式は遺留分の対象外となります。

財産の分割方法は親(社長)が決めることが大切

子供が複数いる場合には、子供同士で分割方法を決めるのは困難なので、親が事前に決めることが相続時のトラブル防止の観点から大切になります。生前での後継者への自社株移動も、社長主導で実行しましょう。また、遺留分対策として自社株以外の資産を増やし、後継者以外の相続人に分割できる資産を準備することも重要です。

 

社長がやるべきこと

【 生前に後継者に自社株を移動し、残った株は遺言で集中を図る 】

  • トラブルリスクの低減
  • 10年経過により、遺留分侵害額の減少
  • 低い株価での自社株移動が可能→資金負担の軽減

POINT!遺産分割、生前での自社株移動は社長自身が決めること


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