相続税負担のため、会社の所有不動産の売却に追い込まれた
美容関係製品の販売会社(株式非公開)であるC社のケースです。
C社は創業30年の会社ですが、10年ほど前から急成長し、
株の評価額も業績に連動して上昇していました。
社長が死亡する直前期には、株の相続税評価額は
1株当たり約250万円になっていたのです。
ところが、社長も、後継者である長男も、他の相続人も、
このような自社株の評価に関する知識を持っていませんでした。
これが悲劇の始まりでした。
社長の死後、相続税を申告するときになって、
多額の相続税が発生することがわかったのです。
金銭での一括納付は不可能な状況で、
物納や延納も事実上、困難な状況でした。
結局、会社が所有していた不動産を売却することで現金を作り、
それを会社が相続人に貸し付けることで相続税を納めたのです。
このようなトラブルは、株式を公開していない会社で、
かつ急成長して儲かっている会社に起こりがちなケースです。
最悪の場合は、会社の存続すら危ぶまれる事態となります。
しかし、それほど重大な問題にもかかわらず、
株式公開をしていない中小企業の社長の中には、
自社株の評価額や評価方法を知らない社長がたくさんいます。
そんな社長さんたちには、
ぜひ、自社株の評価方法や相続税について勉強し、
株の生前贈与などの対策を講じておいてほしいと思います。