コラム28 MBOを活用する

資金力がなくても買取りが可能

MBOとは経営陣(役員)が自社株を買取り、オーナー経営者として独立することです。

身内に後継者がいない場合で、役員による承継を希望する場合の事業承継の選択肢の一つといえます。

MBOを活用した事業承継の流れは次の通りです。

  1. オーナー一族が自社(A社)の株式を100%保有している(株式が分散している場合は買取るなどして整理しておくことが望ましい)。
  2. A社の株式を買取る目的で、後継者となる役員が会社(B社)を設立する。
  3. A社の株式を買取るための資金を、B社が銀行から借り入れる。
  4. B社がオーナーからA社の株式を100%買取る。
  5. B社がA社の株式を100%保有し、A社を子会社化する。

このようにすることで、資金力のない役員でもA社の株式を買取ることができるというわけです。

MBOができるのは資金力のある会社

しかし、B社は銀行から借りたお金をどうやって返済していくのか、疑問に思った人もいるのではないかと思います。

これについては、B社はA杜から配当を受け取ることになりますので、そこから返済することになります。

しかも、B社がA社の株を100%保有し子会社化することで、B社がA社から受け取る配当金は課税されないため、返済原資を確保しやすくなるというわけです。

しかし、A社に収益力がなく、配当が出せないような場合は、MBOは難しくなります。

また、A社が借入過多の場合は、B社が銀行からお金を借りられなくなりますので、この場合もMBOは難しくなります。

逆にいうと、MBOができるのは、借入が少なく、現預金がたくさんあって、収益力のある会社くらいだといえるでしょう。

MBOのメリット、デメリット

メリット

  1. 事業を熟知した経営陣に自社株を譲渡するために、安心して株を手放すことができる。
  2. 従業員の雇用が守れら、企業風土も守られやすい。
  3. 社長は自社株を譲渡することで、自社株を換金することができる。

デメリット

  1. 株式の購入資金を金融機関から借り入れる場合、後継者となる役員は、個人保証や担保設定を要求されることが多い。
  2. 複数の役員が共同経営者になる場合、買取会社の持株比率を平等にするとトラブルになるリスクが高い。

事業承継にはケースバイケースで様々な方法が考えられます。
銀行と証券会社の視点からも的確なアドバイスをいたします。
ぜひ一度ご相談ください。

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