コラム40 従業員持株会の活用


従業員持株会の活用

持株会の活用 社員

相続によって自社株はどんどん分散していく

自社株が分散していくケースで最も多いのが、相続によるものです。社員株主に相続が発生すると、譲渡制限が付与されていても相続は譲渡に該当しないことから、会社の承認を得る必要がないため、相続財産として遺族(社外株主)に承継され、株主の名義書換もされてしまいます。したがって、そのままにしておくと永久に、相続によって自社株が顔の見えない社外の株主に分散していくことになるのです。


持株会の特徴

このような事態を回避するための方法としておすすめしたいのが、従業員持株会の活用です。従業員持株会は、民法667条の「民法上の組合」として設立するので、法人格がなく法人税の課税対象とならず、持株会の会員に直接課税(バススルー課税)がされます。

また、株主数は、持株会を一人の株主としてではなく、会員の人数を数えます。したがって、会員各自は非同族株主として、配当還元価額が適用されます。

保有株式は共有となり、会員は自社株を直接保有することなく、持分という形で間接的に保有します。株式の管理は理事長に委託され、株式名義は理事長名義となり、議決権行使も一括行使しますが、議決権の不統一行使(反対意見も反映させる)が認められています。議決権の行使は理事長が行うため、株主総会に出席できるのは理事長のみです。

持株会規約を承認して入会することで、会員が退会または死亡等により入会資格を失ったときは、自動的に退会扱いになります。退会時の精算は、持分をあらかじめ決められた株価で持株会が買取り、現金で支払います(資金が不足する場合、買取資金を会社が貸し付けます)。

株式の引き出しは認められておらず、持分を他人に譲渡したり、担保に供したりすることもできません。すでに保有している自社株を組み入れることができるので、社員株主の了解を得て、持株会に取り込むこともできます。

 

持株会社の特徴をまとめてみました

  1. 従業員持株会は、法人格がなく法人税の課税対象とならず、持株会の会員に直接課税(パススルー課税)される。
  2. 株主数は、持株会を一人の株主としてではなく、会員の人数を株主と数える。
  3. 会員各自は非同族株主として、配当還元価額が適用される。
  4. 保有株式は共有となり、会員は自社株を直接保有することなく、持分という形で間接的に保有する。
  5. 株式の管理は理事長に委託され、株式名義は理事長名義となり、議決権行使も一括行使する。ただし、議決権の不統一行使(反対意見も反映させる)が認められている。
  6. 株主総会に出席できるのは理事長のみ。
  7. 会員が退会または死亡等により、入会資格を失ったときは、自動的に退会する。
  8. 退会時の精算は、持分をあらかじめ決められた株価で持株会が買取り、現金で支払う(資金が不足する場合、買取資金を会社が貸し付ける)。
  9. 株式の引き出しは認められていない。
  10. 持分を他人に譲渡したり、担保に供したりすることはできない。
  11. すでに保有している自社株を組入れることができる。

 


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