名義株と疑われないための贈与時の注意点
方法を誤ると思わぬ相続税がかかるケースも
世の中には相続税対策として自分が持っている自社株を、贈与税がかからない範囲で毎年少しずつ後継者である長男に贈与している社長もたくさんいます。
しかし、贈与の仕方を間違えてしまうと、社長が亡くなったときに、税務署から「これまで長男に贈与されてきた株は名義株ではないか?」と疑われてしまうことになりかねないのです。
名義株とは、単に名義を貸しているだけで、実際には所有していない株のことです。この名義株に認定されてしまうと、それまで贈与で取得した株でも、贈与として認められなくなり、その分の株についても相続税を払わなければいけなくなってしまいます。
たとえば、社長が100%保有していた自社株を、非課税の範囲内で20年かけてトータルで50%贈与したとしても、名義株だと認定されれば、100%の株を相続したものとして、相続税が計算されることになってしまいます。
名義株と認定されないための具体策
では、名義株ではないことを証明するためには、どうすればいいのでしょうか?
最低限やっておくべきことは次の2つです。
1つ目は、贈与契約書を作成しておくことです。
贈与というのは、贈る人と贈られる人の双方の合意があって初めて成立するものです。したがって、これがないと疑われても仕方がないので、必ず作成しておきましょう。
2つ目は、取締役会で譲渡承認を得たことを、取締役会請事録に残しておくことです。
多くの会社は、自社株に譲渡制限をつけていて、取締役会等の承認を得なければ名義が変更できないことになっています。ですので、譲渡承認を得たという証明があれば、名義株だと疑われることもなくなるのです。
なお、きちんと贈与税を払って贈与した株については、名義株と疑われることはありません。
まとめ・名義株に認定されないためにやっておくべきこと
せっかく何年もかけて後継者に自社株を贈与したとても、名義株だと認定されれば、相続税の課税対象になってしまう
■名義株に認定されないためには?
- 贈与契約書を作成しておく
- 取締役会で譲渡承認を得たことを議事録に残しておく
※贈与税を払っていれば、名義株と疑われることはない
■譲渡認証機関
- 取締役会設置会社→取締役会
- 取締役会非設置会社→株主総会 定款の変更により、代表取締役とすることも可能
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