社長が生前に、自分の兄弟に自社株を渡すことがよくあります。
ところが、2代目社長の息子がおじさんやおばさんから、
株の買い取り請求をされると、会社は高額な値段で
買い取らなければいけなくなり、大量の資金が必要になります。
さらに、自社で株を買い取る場合、
最初の人から高額な値段で買い取ってしまうと、
ほかの人から株の買い取り請求があったら、
同じ値段で買い取らなければいけないことになるのです。
また、仲の良い友人と株を50%ずつ持って共同経営していた場合、
仲の良いうちはいいのですが、仲が悪くなってしまうと、
会社では何も決められなくなってしまいます。
実際、共同経営者の一人が裁判所に解散請求の訴えを起こしたところ、
裁判所が会社の解散命令を出したケースもありました。
このように、自社株の取り扱いは、
一歩間違うと、会社の存続を脅かす問題に発展するのです。
これらは、ほんの一例です。
自社株に関しては、キャリアの長い社長でも
知らない落とし穴がたくさんあります。
私は自社株の専門家として、銀行と証券会社勤務の30年間の間に、
さまざまなトラブルを見聞きし、そして自分でも解決に乗り出したり
コンサルティングをしたりしてきました。
その中でわかったことは、
自社株をめぐる問題は、ある日突然、あなたを襲うということです。
ですので、他人事ではなく自分事として、
未来のことではなく今の現実の問題として、
自社株の怖さを学んでほしいと思います。