◆兄弟で創業したが、社長の死後、社長になった弟に経営権なし
次は、機械部品メーカーのB社のケースです。
B社は兄と弟が2人で起業した会社で、
社長である兄が80%の株を保有し、
専務である弟が20%の株を保有していました。
数年前から社長が体調を崩したため、
社業は弟の専務に任せることにしたのですが、
自社株についてはそのままでした。
その後、社長が亡くなり、社長が保有していた80%の株は、
社長の妻と一人娘にそのまま引き継がれてしまったのです。
このままでは会社の経営権を、
社長の妻と娘に握られてしまうことになるため、
社長の座を引き継いだ弟は、社長の妻と娘に
「株を全部売ってください」と申し出ました。
しかし、応じてもらえませんでした。
現在、B社の経営権は、社業に関わっていない社長の妻と娘に握られており、
弟はいつ解任されるかわからない状況に戦々恐々としています。
また、会社が第三者に売却されてしまう危険性もあるのです。
このような状況を回避するためには、
社長が生前に専務に株を贈与したり、遺言を作成して、
専務への株の譲渡を検討しておくべきだったといえます。
また、会社が自社株を買い取りできるように、
「相続人に対する売渡請求」が可能な旨を、
定款に定めておくべきだったといえるでしょう。