相続税はあくまで承継の「コスト」と考えるべき
事業承継というと、相続税対策が一番に挙げられがちですが、実は事業承継で一番大事なことは、後継者に経営権をきちんと承継することです。
相続税はあくまで承継の「コスト」と考えるべきであって、大事なのは後継者が社長の座を引き継いだ後、経営権を失わないようにしておくことなのです。
この経営権の承継をきちんと行わなかったために、後継者が解任されたりするケースが起こっています。
具体的には、次の順番でクリアしていきます。
事業承継でクリアすべき3つのこと
1.議決権のある株式の過半数を確保する
→取締役全員を後継者「単独」で選任・解任ができる
【議決権が50%未満になると…】
→造反取締役が他の株主と結託すると、後継者が取締役を解任されてしまう
2.株式の3分の2の議決権を確保する
→株主総会の特別決議が可能になる(定款変更、組織再編、増減資等の重要事項)
・一部買取等により、議決権の比率を下げる方策を検討する
・後継者単独で3分の2を確保できればよいが、相続税負担大なので、他の株主を親密な関係にする
3.問題株主または将来問題株主になる可能性のある株主への対応
→3分の1超の議決権のある株式を保有している株主は、単独で特別決議を否決できる
・一部買取等により、議決権の比率を下げる方策を検討する
・後継者単独で3分の2を確保できればよいが、相続税負担大なので、他の株主を親密な関係にする
POINT!
社長が元気なうちは、株主構成に問題があっても表面化することは少ない。
代替わり後に表面化するので、早期に見直しをしよう