コラム38 相続から3年10カ月以内の特例


相続から3年10カ月以内の特例

相続 株式

3年10カ月以内に売却すれば譲渡所得になる

自社株を自社に売却した場合、譲渡所得と配当所得に分解して課税額を計算するのが原則です。
しかし、相続で取得した自社株を、自社に自己株式として売却する場合には、税務上の特例があり、全額譲渡所得として扱われることになっています。
ただし、この特例を受けるためには、相続から3年10カ月以内に自社に売却する必要があります。

特例を受ける場合の3つの注意点

この特例を受ける場合の注意点は次の通りです。

1.取得価額

相続で取得した自社株の取得価額は、被相続人の取得価額を引き継ぎます。したがって、創業社長から相続した株式の評価が1株5万円だったとしても、取得価額は当初の出資金額の500円となり、売却益が発生します。
売却益は5万円ー500円=4万9500円です。

2.譲渡経費

自社株を承継するときに負担した相続税は、譲渡経費として売却益から差し引くことができます。
仮に、相続税率が20%とした場合、5万円x20%=1万円が経費となりますので、売却益は4万9500円ー1万円=3万9500円となります。

3.譲渡所得税

譲渡所得税は分離課税で一律20.315%ですので、課税額は3万9500円x20.315%=8024円です。
配当所得の税率が最高で約50%なのに比べると、約30%の節税になりますので、この特例の節税効果は大きいといえるでしょう。
ただし、自社株を自社に売却する場合、自己株式には議決権がありませんので、持株比率が低下することになります。
したがって、持株比率が50%前後の場合は、後継者が経営権を有する関係会社に売却することをおすすめします。


 

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